CTOが参画&5年目に掲げるミッション。佐渡島が語る、これからコルクが実行していくこと。



コルクのブログがスタートして3ヶ月。
僕が書くのは初めてだ。このブログ、実はコルクの社員がどういう風に働いているかを紹介しようという趣旨で始まったから、僕はノータッチでここまで進んできた。

コルクの創業時、出版物のデジタル化は想定していた。IT化は想定できていなかったが、作家にもエンジニアの力が必要だと考え、CTO探しが始まった。想定していなかったことがたくさんあり、考え方もちょっとずつ変わってきている。

コルクを創業して4年が経ち、2016年10月1日から5年目が始まった。コルクのコーポレートサイトもリニューアルした。このタイミングで、また初心に戻って、再スタートする気持ちでもあるので、今、考えていることをブログに残そうと思う。

言葉による理念の再定義

創業時は、右も左も分からない状態だった。「今の時代には、クリエイターのためのエージェント業が必要だ!」という思いを持って、とにかく勢いだけで動いていた。そして現在。「作家の価値を最大化する」という趣旨に賛同してくれた人たちが、様々な業種からコルクへ転職をし、集まってきてくれた。

人が増えてくると、同じ言葉を使っていてもちょっとずつイメージすることズレが生まれてくる。そう感じるようになってきた。またそれと同時に、今の時代のエージェントは、どのようにクリエイターを支えればいいのかという形のようなものが、おぼろげながら見えてきた。
重要なのは、それを社内にどう定着させ、拡大するかだ。

どうすればいいか悩んでいた時に、ほぼ日の糸井重里さんが「夢に手足を」という会社の理念を発表された。それを見てコルクに必要なのも、言葉による理念などの再定義なんだと認識した。

言葉にするのに、何ヶ月も苦しんだ。
コルクは、何のためにあるのか?なぜ、僕は起業したのか?僕にとって、最も大切な価値観は何なのか?30分あれば伝えることができても、一言で表すことはなかなかできなかった。
結局、僕の思考がぼやっとしていて、メンバーが一体感を持つのを邪魔してしまっているのだ。

今の時代だからみえてきた、
自分が好きなこと、やりたいこと。

僕は本が大好きだ。
だから、出版業界に入り、編集者になった。今も本が好きだ。でも、本じゃなくてもいいと思う時も、最近だとある。なぜそう思うようになったのか?考えていると、本を好きという言葉は雑なのだ。
僕が好きなことを正確に言うと、作家の頭に生まれた世界観を自分の頭の中で再現して、作家の感情を受け取ることだ。
IT前の世界は、実は不自由で、本しか作家の世界観を伝える手段がなかった。でも、今の時代は、様々な方法で、もちろん本も使いながら、作家の世界観をより十全に、ファンのもとに届けることができる。

僕が好きなのは、作家の想いが、僕の心に届くこと。だから、コルクのミッションは、作家の本を読者の手元に届けることではなく、作家の想いをファンの心に届ける手助けをすることなのだ。

5年目に掲げたコルクのミッション、「心に届ける」

では、どうすれば心に届けることができるのか?

コルクは、ビジネスモデルが固まらない中動いていたので、作家のマネジメントにはじまり、版権の管理や電子書式化、SNSのアカウントの運用、ファンイベントの企画、特設サイトやアプリの制作、展覧会の開催、オリジナルグッズの開発など、可能性があることは何でもやっていた。その中で、何が優先順位の高いことなのか、メンバーが自分で判断するのが難しい状況を生み出してしまっていた。

そこで、コルクがやることを定義することで、やらないことも明確にしたいと思った。

コルクの仕事は3つのマネージメント

1 クリエイターのマネージメント
クリエイターの才能を誰よりも深く信じ、クリエイターが自分の強みを活かして世界観を表現するための触媒となる。クリエイターが作品作りに集中できる環境を整える。また、新人クリエイターの能力を見つけ出し、トップクリエイターになれるように育成する。
2 作品のマネージメント
作品が、時代、場所を超えて、愛され、楽しんでもらえるように著作権を管理、運用する。また、世界観を拡張し、様々な形態で、作品の世界観を楽しめるようにする。
3 ファンのマネージメント
クリエイターとエージェントの閉じた関係で作品を完成させず、ファンと一体になり、作品を完成させる。ファンが、クリエイターをより好きになり、作品を深く理解できるよう、情報、体験を共有する。また、ファン同士が、仲間としてつながれることを促す

日々をどのように過ごせば、コルクのみんなで一流の作家をサポートし、人々が熱狂する作品を、多くの人の心に届けるのか? そこで生まれた行動指針が以下の3つだ。

行動指針

1 さらけだす
2 やりすぎる
3 まきこむ

さらけだすと心に届く。
誰かの心に届けられた経験で、自分の行動が変わる。
やりすぎると心の奥深くに届く。
心の奥深くに届いた人の行動も変わる。
まきこむと多くの人の心に届く。
届いた人が仲間になってくれて、一緒に行動してくれると
社会が変わりだす。

コルクは、クリエイターと一緒に生み出した作品で、社会を良い方へと変えていく会社になりたい。
そして、コルクはそうなるための準備をしている。

これらの仕事を実現するために、コルクが重視するスキルも定義した。

1 楽しむ力
2 ITの力
3 チームの力

コルクでは、メンバー誰もがそれを強みとできるように、学び、教えあう体制を社内に作っていこうとしている。

ただ、その中核を担うCTOという存在がこれまで、コルクにはいなかった。テクノロジーの力を使って、クリエイターと一緒に社会を変えていけるCTOを、僕たちは2年間近く、ずっと探し続けていた。

そして2016年10月。待ち望んだCTOがコルクにジョインしてくれるのだ。その男の名は、萬田大作。

萬田(@daisakku)がどのようにジョインしてくれることになったのかは、またの機会に。

 

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リニューアルしたコーポレートサイトはこちらよりどうぞ!