コルク作家の人気ツイートを塩谷舞さん(@ciotan)にみてもらいました!ツイッターの投稿のテクニックとは。


おもしろさというのは〈親近感×質の絶対値〉の「面積」

コルク代表の佐渡島が著書『ぼくらの仮説が世界をつくる』のなかで語っているこの持論。
漫画を読むとき、音楽を聞くときなどに「作品そのものの質」が重要なのはもちろんですが、その作品に対する「親近感」をもってもらうことをコルクでは重要視しています。

好きな主人公の癖を日常で真似てみたり、登場人物と一緒に『バルス!!』と呟いてみたり、 作品のことを知っているということが作品体験自体をより楽しめる一因になるということを誰もが体験したことがあるのではないでしょうか。

「親近感」を持ってもらうことで、より深く作品を楽しんでほしい。

そこでコルクが使っているものが「ツイッター」です。

コルクのメンバーが作家さんのアカウントをお借りして、作家さんの姿や最新ニュースをフォロワーさんに伝えていくことはもちろん、投稿から作家さんの日々の生活を覗いてもらえたり、時には描き下ろしのミニ漫画を公開したりこともあります。

そこで、今回の記事ではどんな投稿が人気を集めるのか・どうすればもっと多くの人に届いたのかを1万2千人のフォロワーを持ち、あらゆる団体や企画の広報を務めてきた塩谷舞さん(@ciotan)に考察してもらいました!
コルク作家のツイッターアカウントごとに、人気投稿を選りすぐってピックアップしたものにコメントをいただいています!細かいノウハウがつまってますので、どうぞみなさま参考にしてください〜!(塩谷さんありがとうございますー!)

安野モヨコ:描き下ろしのイラスト投稿や、庵野秀明監督との夫婦生活が覗ける

安野さんの投稿は書き下ろしのイラストがみれたり、監督との生活が覗けたりするところが魅力的。こちらのツイートも『シンゴジラ』の話題にのって多くのリアクションがいただけました。

GRAKeUCp塩谷さん:漫画家さん同士の、お互いの画風でお互いのキャラを描いてみた……というツイートなどは、互いのファンそれぞれを刺激してRTが加速する傾向があります。 この事例は、漫画家さん同士ではないのですが、Wアンノで知られる超一流クリエイター夫婦……その威力は凄まじいものがあります。中でも安野モヨコさんが描く「庵野監督×シン・ゴジラ×エヴァ」は、「公認イラスト」と言っても過言ではない……! モヨコファン、監督ファン、ゴジラファン、エヴァファンのハートを串刺しにして、RTとファボが伸びない訳がありません……

GRAKeUCp塩谷さん:これは前述した「漫画家さん同士の、お互いの画風でお互いのキャラを描いてみた」に近い内容でもありますが、現代を生きる芸術家が芸術家を刺激する……という、非常にエポックメイキングな出来事となっております。もし、画家のゴッホとゴーギャンがTwitterをやっていたら、こんな感じで「ゴーギャン、やめろ!俺の作品以上の傑作を描くんじゃない!」だなんてツイートしていたかも知れません。そういう意味で、後世に残すべき非常に重要な記録(ツイート)です。極上の作品を親近感をもって味わえる、いい時代になりましたね……。

GRAKeUCp塩谷さん:「懐かしい!」という想いは、脊髄を刺激して反射的にRTとファボを行います。懐かしい、懐かしいよ松方さん!!!少し大人っぽくなった気がするよ、松方さん……! 今も連載再開の声が多く集まる、安野モヨコさん代表作の1つ『働きマン』のヒロイン、松方(とマユ)。ちなみに『シン・ゴジラ』の映画中の1シーンに、松方さんの作る雑誌「JIDAI」の中吊り広告があるようで……?

スタッフによる投稿の中でも際立って人気を集めたのが下の投稿。この後、連載当時まだ子供だったショコラとバニラのオトナ姿が公開され、更には『シュガシュガルーン』のカラー連載がはじまりました。

GRAKeUCp塩谷さん:上述した「懐かしい!」思いをさらに加速させるのが、そう。「少女漫画」です。 シュガシュガルーンはアニメや「なかよし」での連載終了後、ファンが大人になった今も根強く愛されていたのですが、ファンと同じく、主人公のショコラとバニラが大人になって復活したーーーー! という胸熱な展開。多くの「懐かしい!」「ずっと待ってた!」「あの頃を思い出して泣きそう!」という親近感バシバシの、ピュアなコメントが集まりました。

小山宙哉:リアルタイムでの交流や、宇宙にまつわるあらゆる情報が手に入る

小山宙哉さんのアカウントでは現在モーニングで連載中の『宇宙兄弟』の制作現場や宇宙にまつわることなどを、編集担当ユヒコを中心にお届けしています。一番の人気投稿は妖怪ウォッチに六太(?!)が登場したこちら。

GRAKeUCp塩谷さん:出た!!!これはずるい!!2015年、妖怪ウォッチ全盛期に、『妖怪ウォッチ』×『宇宙兄弟』というメガヒット作品2つのコラボツイートが伸びない訳がない!!!この目を疑うシュールな絵で、RTしたあとに「なんだこれ?!」を感想を述べるツイッタラーが多数……!

GRAKeUCp塩谷さん:これまでに「懐かしい」「異なる作品同士のコラボ」がバズ要素として登場しましたが、これまた新たなバズ要素です。美しすぎる空、そして宇宙。25万人もフォロワーがいるフォトグラファー@KAGAYA_11949さんの拡散力も相まって、ファボもRTも止まりません。KAGAYAさんのスゴいところが、「今、月を見上げてみてください。月の上にある輝く星は…」という実況を頻繁に行い、日本全国のフォロワーに親近感を抱かせているところです。 ちなみに!このような星空写真は、実際の2倍の画像サイズで投稿するのがポイントです。そうすると、Retina対応のiPhoneでもキレイに表示されるぞ!

GRAKeUCp塩谷さん:日頃自分が使っているLINEを、あのキャラも使っているという親近感……。ムッタと日々人のLINEの会話を見ることで「漫画なの?」「いや、現実なの??」とややこしくなる良ツイート。しかも、宇宙兄弟はすこしだけ未来のお話なので、リアルタイムの日々人の年齢「18歳」をお祝いしているところもポイントです。まるで実在する人物のように! ちなみに、LINEのスクショ晒しという点ではこの「妄想壁紙」という企画が秀逸なのでぜひご覧ください。

GRAKeUCp塩谷さん:この「上にスワイプするとキャラが消えていく」という技は、スマホユーザーが多い場合は効果絶大。気軽に試せて、「面白いから友達にも教えてあげよう」とRTが出来る。そしてムッタとアポが可愛い。画像形式をPNGにして、背景を透過すると良い感じに浮遊感が漂いますよ。

リアルタイムでのファンとの交流が多いというのもこのアカウントの特徴です。キャラクターの誕生日や、記念日のお祝いはファンのかたと一緒に喜んだり、スワイプで遊んでみたり等多くの呼びかけをしています。

GRAKeUCp塩谷さん:しっかりと宇宙のリアルタイムな出来事に便乗するのが、宇宙兄弟アカウントのすごいところ!これは、アカウント運用者の執念がないと出来ません……。「宇宙兄弟がきっかけで宇宙のことに興味を持った」と言われるファンが多いのも、このような「本当の宇宙」との接続点が多数あるからなのでしょう。 しかし! ここで #大西宇宙飛行士 などのハッシュタグがあれば、ツイッターの検索からもっとリーチが伸びたかもしれません。次回はぜひ!

こやまこいこ:マンガで切り取られる彩り豊かな暮らしの断片

なにを隠そう「こやまこいこ」さんは「小山宙哉」さんの奥さま。イラストレーターや絵本作家として活動していて、先日も新しい連載がはじまったばかりなのです。こいこさんの投稿では小山宙哉さん、娘二人、こいこさん4人家族の生活がほぼ毎日あたたかく綴られています。

GRAKeUCp塩谷さん:はい、私の大好きなこやまこいこさんの漫画! ご本人の作風だとは思いつつ、シンプルな線で書かれた漫画は、ツイッターとの相性も最高でございます。スマホ画面で識別するには、シンプルな線画にシンプルな着彩が一番…!きっと「読みやすいように」という作者さんの優しさがそうさせているのでしょう。 そしてこの作品は1枚モノでオチがあるので理解しやすい! なにより「自分が通ってきた経験」は親近感や共感を呼びやすいものですが、「ひらがなの練習」はその最たるもので、日本人が全員共感できちゃうすごいネタだと思います。

GRAKeUCp塩谷さん:このお父さんは、そう、『宇宙兄弟』作者の小山宙哉さんです。有名漫画家の「ふつうのパパ姿」を描けるのは奥さんだけ…!しかしなにより、漫画から溢れるこの愛…!ふぁぼらずにはいられませんね。 が、たとえばこれを小山宙哉さんが「あれ、いつの間に漫画にされてたんや」とコメント付きRTなどすると、さらにふぁぼが加速いたします。透けて見える夫婦の会話ほど楽しいものはない…… しかし!それを求めるのは野暮というものでございます

木下晋也:漫画とあわせて楽しめるギャグ漫画ならではの公開告知ツイートも

木下晋也さんは『木下晋也 オフィシャルサイト』やその他『エンタメウィーク』『ママテナ』『ジモコロ』などで連載を多数持っています。ギャグ漫画家の木下さんの目線で見ると日常の中には、まだまだ沢山の面白いことが隠れているように思えてきます。

GRAKeUCp塩谷さん:1枚絵でオチまでわかる、そしてネタの中心にあるのは、クリネックスという誰でも共通認識しているもの……。ストーリーのたまらぬ可愛さと、共感のツボがRTを加速させる作品です。ちなみにこの電話番号「03-6665-5302」は、しっかりクリネックスの会社の番号でした。

GRAKeUCp塩谷さん:「一寸法師」や「金太郎」のストーリーはうろ覚え、でも「桃太郎」なら日本国民みんながスラスラ思い出せる。そう、桃太郎は究極の共通言語としてインターネット上に君臨し、数多の二次創作が生まれてきました。しかしこの作品に出てくる文字は旗に書いてある「日本一」と「マジか」のみ。その2単語だけで成立する非常に稀有な「桃太郎」であります。

羽賀翔一:ツイッターを作品公開メディアとしても活用!

コルクの社内で漫画を描いていて『今日のコルク』も書いている羽賀翔一さん。ツイッターが発表の機会としてのメディアのひとつにもなっています。人気ツイートは作品とも呼べる投稿が集まりました!

GRAKeUCp塩谷さん:これは実際に見た瞬間私も「欲しい!」と思わずRTしました。名刺はビジネスマンみんなのコミュニケーションツール。その名刺にあらたなフォーマットを提案した上に、それを誰でも使えるようにテンプレートまで一緒にツイートしてあげるという羽賀さんの心遣い……! これを見たKAI-YOUさんが記事にしてくれて、それをホリエモンがツイートしたり、アグレッシブな拡散を見せた一作でした。

GRAKeUCp塩谷さん:コルクの社長・佐渡島さんが「プロフェッショナル仕事の流儀」に取り上げられるときに、羽賀さんが乗っかった企画。マスメディアで天才だと紹介されている編集者の、チャーミングな姿にギャップ萌えを狙っているのかもしれません。これも1つの「親近感」×「質の高さ」掛け合わせ作戦でしょうか。でも #佐渡島庸平 #プロフェッショナル仕事の流儀 などのハッシュタグが付いていれば、もっと伸びたかと……! また、プロフェッショナルなどで特集をされる人は一気にGoogleでその名前が検索されるので、番組放送の1週間くらい前にこのようなコンテンツを描いてブログに貯めまくっておくと、SEO対策としても最高です!

三田紀房:格言やノウハウが詰まった面白くてタメになるつぶやき

『ドラゴン桜』『インベスターZ』の著者・三田紀房。面白くてタメになる、三田さんならではの格言やノウハウや漫画に関するニュースをコルクスタッフからお届けしています。『インベスターZ』は今週『バカが考えた株の漫画』に画像提供をしていてバズったばかりでもあります。バーグハンバーグバーグさん流石です。

GRAKeUCp塩谷さん:これは先週話題になったばかりのバーグハンバーグバーグ企画。内容が面白すぎるのでRTも増えやすいのですが、公式としての対応は「これはひどい。僕らの大切な漫画が乱用されていました。財前、いつの間にそんな馬鹿になったんだ」という被害者スタンスでも良かったかもしれません。すると、「かわいそうに!」という同情、そして「バーグのせいだ!」という非難が飛んでより話題になったかもしれません。そうしてバーグハンバーグバーグさんが悪者になったとしても、Twitterはプロレス。試合後はもちろんお互い最高の笑顔で握手をするまでです。

GRAKeUCp塩谷さん:この表情のインパクトこそ三田作品の醍醐味……!!そして描かれているのがホリエモン! これはRT加速するに違いない。しかし、たとえば取材のときにホリエモンに同じポーズで写真をお願いしていたら……その写真とイラストを同時にupすれば「完全に一致」としてより盛り上がったかもしれません。次はぜひ堀江さんの「すごい表情写真」を押さえてもらえれば!

 

曽田正人:キャラクターの魅力を作品外からも楽しめる呼びかけ

『め組の大吾』『昴』などの天才を描く天才と言われることもある曽田正人さん。コルクでは『テンプリズム』という作品を一緒につくっています。曽田正人さんのツイッターはこちら(@sodamasahito)なのですが、今回はコルクで運用しているテンプリズム担当(@TheTenthPrism)のアカウントを紹介します。

GRAKeUCp塩谷さん:人気声優、西山宏太朗さんと上田麗奈さんがご登場、しかもスペシャルインタビュー、という「あやかり型」の事例。RTが伸びないわけがないっ!次っ!
 

GRAKeUCp塩谷さん:これはサムネイル勝ち案件です。かわいい女の子はクリック率が高いですが、このヒロイン・ニキはかわいいうえに表情がエロい。「ニキのエロい表情特集」をして欲しいくらいです。

GRAKeUCp塩谷さん:エロい表情の次には、無防備な表情。食べ物を頬張る女子はいいものですね。食べ物を食べる女子に特化したサイトもあるほどですからね。これ、ちゃんと飯テロの時間帯(夜11時)に投稿し、フォロワーの食欲を刺激しているのもポイント高いですね!

ダ・ヴィンチ・恐山(品田遊):くだらないけど真面目。コルク佐渡島が作家としてくどいた着眼点と文才。

ツイッター界では有名な「ダ・ヴィンチ・恐山」さん。その投稿をみていたコルクの代表・佐渡島が小説を書こうと呼びかけて『止まりだしたら走らない』という小説を品田遊名義でだしています。コルクと出会う前からフォロワーを多く持っていた品田さんの投稿を紹介するのは恐縮ではあるのですが、折角の機会なのでご紹介します!

GRAKeUCp塩谷さん:まとめてのコメントで失礼します。「週刊誌」はさておき「マリア様」「羅生門」「二宮金次郎像」という「かつて教科書で学んだ遠いもの」を元の素材として、そこにめちゃくちゃ親近感のあるツッコミを入れる。遠いのか?近いのか?という距離間の錯覚を起こす…という恐山先生の芸風、てんさい

塩谷さん、ありがとうございますー!コルクではこれからもツイッターをつかってフォロワーの方と一緒に、日々の生活の中で作品を楽しんでいきたいと思っています。
コルクの公式ツイッターもどうぞよろしくおねがいします。